保育園の時、みんなで『
はないちもんめ』をして
いた。
選ばれた人がジャンケン
をして、負けたら相手チ
ームに入る遊びだ。
1人選ばれジャンケンで
負け、2人選ばれジャン
ケンで負け…。
私は最後の1人になり、
1人ではないちもんめを
踊った。
『はないちもんめ』が大
嫌いになった。
名前を呼ばれることさえ
滅多になかった。
小学校の運動会、土曜日
に雨が降り、火曜日にず
れた。
親は来てくれず、私は誰
もいない教室で、1人で
お弁当を食べた。
ある日、前の席の子と喧
嘩になった。
理由も知らずに、みんな
がその子の味方をした。
私は除け者だった。
家庭に居場所はなく、学
校に居場所はなく、どこ
に居ても、どこに行って
も受け入れてくれる人は
いなかった。
育った町を離れ、結婚を
した。
新しい町でも友達はでき
ない。
むしろ出会った人には嫌
われた。
私は占い師に聞いた。
「私に友達はできますか
?」と。
占い師は少しためらい、
こう言った。
「ごめんなさい。あなた
独りぼっちなの。あなた
の星は誰も寄ってこない
星なの。家族も、友達も
周りの人も。求めれば求
めるほど、相手は離れて
行くの。」
どこかでは解っていたが
あえて気付かない振りを
して生きてきた。
心に穴が空いた気がした
…。
人に言われた言葉でここ
まで傷つき、重みを感じ
た事はなかった。
占い師は続けた。
「これから先、友達はで
きないから、今いる友達
を大切にしなさい。
本当の友達というのは、
子供の頃からの友達だけ
なの。」と。
慰められてしまった時点
で、ごまかしがきかない
ほど、独りぼっちなのだ
と痛感した。
家に帰り、一段落して、
言われた言葉を思い返し
た。
薄々感じ、拒絶していた
事実を確信を持って言わ
れると、逃げ場はなくな
り、向き合うしかなくな
った。
心の葛藤が始まった。
こんなにも受け入れたく
ない事実と戦うのは初め
てだった。
そして気付いた。
この苦しみを打ち明けら
れる人さえいないという
ことを。