国務長官リーマンが、バイスに草稿を渡した。
「大統領、大統領発表を直ちに行います。世界中に向けて。しかるのち各国首脳の声明を得て、行動を開始します。演説内容はこれに。」
「用意がいいな。もう少し情報収集が必要ではないのか?」
「ふっ、大統領お気に入りのCIAですか・・・。
国内での捜査能力や情報収集能力では、FBIが専門家です。
全米のあらゆる情報網はFBIの手の内です。」
「私も・・・歴代合衆国大統領も、いや政権も議会も手の内という訳か。
」
「さあ、私もFBI出身ですが、そのようなこと。
しかし、FBI陰謀論なんて映画のような馬鹿げた噂は後を絶ちませんな。大統領暗殺とかね。ハハハ」
リーマンは笑いながらも、その眼は決して笑っていなかった。
「・・・・わかった。
国務長官、緊急安全保障会議を開く。メンバーを召集してくれ。」
「わかりました。直ちに手配を。では後ほど」
リーマンは執務室を出ると、執務室前のシークレットサービスに目配せをした。
屈強なシークレットサービスは、背広の裾をたくしあげ、銃をちらつかせ、ニヤッと笑った。