絶対に後悔しないと思ってた…
シュウに後ろめたいと思う事も無いと思ってた…
そして…
タカオを本気で好きになる事も―
シュウと結婚して三年。
子供にも恵まれ、貧しいながらも幸せな家庭。
シュウは、私も子供も大切に愛してくれる。
シュウには何も問題などない。
だけど、いつからかシュウとの間に空間が生まれた。
シュウとのセックスは日ごとに少なくなり、私の体に触れなくなった…。
「どうして?私はもっとしたい。シュウとしたいょ」
「疲れてるんだ。また今度にしてくれないか。」
「どうして?そんなに私に魅力がないの…?」
「そんなこと言ってないだろ…」
あっ…ほら
また視線反らした…
面倒臭そうな顔…
いつもこうだ。
何度もせがむ私を、シュウはだんだん突き放して行った。
そして自分からその話題を避けて行った。
私は努力した。
もう一度シュウとつながりたくて。
派手な下着を買ってみたり。
夜は香水をつけてみたり。
でもシュウは私に触れなかった。
私は意を決して大人のおもちゃも買ってみた。
でも…照れ臭くて使えなかった。
一度だけシュウが私に触れた事があった。
嬉しいはずだった。 幸せなはずだった。
でも…
私は感じなかった。
シュウの荒い息づかいに反比例して私はどんどん萎えて行った。
ー止めて。全然よくない。気持ち…悪いもう止めてー
心の中で強く叫んだ。
心とは反対に繰り返し口から漏れる演技。
今度は私が
シュウを拒絶していた。
それを隠し通す事に必死になっているうちにシュウとの行為が終わった。
シュウは気付いているのだろうか…
シュウは果てた後、さっさと服を着て眠りについたー。
私は一人で煙草を吸った。
子供を産んで以来避けていた煙草は少し苦しくてクラクラした。
回る換気扇の音がキッチンに響く。
肌寒くて肩が小刻みに震える。
私達はお互いを拒絶し合っている。
心も体も激しく求めあえないようになってしまった。
シュウは悪くない。 誰も悪くない。
それが夫婦なんだろうか。
男は外で働き、女は 家を守り、共に子供を育ててゆく。
だけどただの女と男には戻れない。 求め合えない。
涙が出た。
その日私は「女の私」に別れを告げた…
…はずだった。
彼と出会うまでは…