トシウエトモダチ 1

桜丘  2009-02-23投稿
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店は小さなケーキ屋さんで、奥に買ったケーキを食べられるスペースになっている。

あたしは先に注文して席につく。
窓の外からはきれいに整えられた花壇が見えて、その景色を眺めてぼーっとしていた。

「彼と、何かあった?」

覗きこまれる。

「いや、彼っていうか、彼っていってもあの人は彼女いるわけで、付き合ってるって訳でもなく…」

しどろもどろになっているとケーキがきて話が中断される。

コーヒーにミルフィーユ。
それと紅茶に、苺の乗ったケーキ。
チーズケーキ、ガトーショコラ、オレンジのタルト

小さな木のテーブルは計5つのケーキで一杯になった。

ケーキ多すぎないか?
唖然としているあたしの前で、苺にフォークを突き刺しながら成田くんは平然と言った。

「信じらんない!」

確かにこの量は。

「付き合ってるんだと思ってた。」

あぁ、そっちか。
4口で食べ終え、次のケーキを食べ始めるのを目にすると、信じられないのはこっちだ、という気分になる。

「あの人…はね、彼女と同棲してるんだし、あたしとは、ただの、遊びなんだよ。」

ミルフィーユにフォークを突き刺すと、サクサクと崩れ落ちて、白い皿に散らばった。



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