奈央と出会えたから。<326>

麻呂  2009-02-24投稿
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そのトキ、あたしは、すぐに聖人の異変に気付いた。



胸を押さえて、その場にしゃがみ込んでしまったんだ。



『聖人の様子が変!!ユカ、あたし聖人のトコ行ってくる。』



『待って、奈央。あたしも行くよ!!』


おそらく、捻挫をしたと思われる足を引きずりながらも、



あたしは、ユカに手を貸してもらい、聖人のもとへ急いだ。


『聖人!!大丈夫?!』



とっさに掛けた声。


聖人は、あたしの声に気付いた様子はなく、



胸を押さえながら、うずくまったままだ。



『聖人、胸が苦しい?!走りすぎだよ!!無茶しすぎ!!

心臓弱いのに。

立てる?!奈央と一緒に保健室行くよッ!!』



うずくまったままの聖人の顔を覗き込みながら、ユカが言った。



“おい、北岡どうしたのよ?!”



“そういえば、北岡君て、心臓弱くて2年ダブってんのよねぇ?!”



“マジ?!心臓弱いヤツが、あんな走り出来るか?!

やっぱ、アイツはただ者じゃねぇ。”



“ちょっと、ヤバくね?!さっきから、ずっと、うずくまったままだゼ?!”



“誰か、様子見て来いよ?!”



“オクサマがさっきから見てるだろ?!”



“あ?!木下かぁ?!ヒャハハハ。”



ザワザワザワザワ――



辺りがざわつき始めた。



みんな、さっきまでは聖人の活躍を喜んで見ていたくせに。


何を好き勝手なコトを言ってるの?!



興味本位で見ないでよ!!



『奈央。ちょっと待ってて。あたし、誰か呼んで来る。

とにかく、保健室に連れて行かないと。』



『うん。ごめん、ユカ。急いでね。』





えっっ???



あたしが、そう言い終わらないうちに、


聖人にTシャツの端っこを引っ張られた。



『‥‥ぶぉけッ!!
よけーなコトすんなッ!!』



えぇっっ???



よ‥‥余計なコトって‥‥‥。

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