『聖人。胸苦しくないの?!』
ゆっくりと立ち上がった聖人に、あたしが聞くと、
『これも、俺のパフォーマンス!!』
聖人は、そう言って笑ったんだ。
『はぁあ?!信じらんない。あたしら、すごい心配してんのに、そりゃないじゃん!!』
ユカが少し、ふくれ気味にそう言ってたケド――
『早く行こうゼ!!
奈央姫。お姫様抱っこをして進ぜよう〜〜〜♪♪♪』
『えっ!!ち‥ちょっと聖人ッ/////』
『あははは!!聖人、奈央を責任持って保健室へ連れて行くコト!!』
“ヒューヒュー♪
熱いねぇ!!木下ぱんつ見えてるぞ。”
“ちぇっ。北岡のヤツ、ぶっ倒れたのかと思ったのに。
面白くね〜〜〜。”
“ちょっと男子!!言い過ぎだからッ!!”
“ちきしょ〜。顔のイイヤツは何やっても様になるよな。”
“焼くな焼くなッ!!ケッケッケ。”
全校生徒の注目を浴びる中で、
あたしは聖人に、
初めて、
お姫様抱っこをされた。
『こらっっ!!北岡!!木下!!
何をやってるんだ!!お前らは!!
まだ競技中だぞ!!
早く元の場所に戻れっっ!!』
そのトキ、渋川が、相変わらずの熱血ぶりを披露し始めた。
そっか。
今日は体育祭だから、ユカのお父さんでもあるPTA会長も来てるし。
熱血教師ぶりをアピールするには絶好のチャンスだもんね。
『お〜い!!赤組1着でゴールしたゼ!!アンカーの岡田にみんな注目〜〜〜!!』
渋川を無視して、聖人が応援席に向かって叫んだ。
“キャー☆マサキせんぱぁ〜〜〜い♪♪♪”
“ステキ〜〜!!”
“北岡君と並んで〜♪写メ撮るよ〜!!”
“イケメンX2ショット☆”
『ば、ば、ば、バカモノ!!
赤組は北岡の馬鹿の為に失格だっっ!!』
あはっ。
渋川が体をぷるぷる震わせながら、そう言ってたっけ。
“スウェーデンリレー”の結果は、
結局、失格に終わったケド、
すごく盛り上がったコトで、
きっと、みんな楽しめたんじゃないかって思う。
聖人。ありがと。
あたしの中で、
あなたは、
ずっと、
ずっと、
永遠にヒーローです――