「君が後継者になれない属性だったから?」
「そうよ」
ラトの質問に、ユミナは厳しい表情で頷いた。
「産まれた時は『光とか闇とか関係ない。この子は俺の宝物だ』とか言っていたくせに、何年か経ってみたら自分のストレスの捌け口にしていた…。最低な父親だったわ」
「…『だった』?君の両親は今どうしてるんだ?」
「死んだわ」
ユミナはそう言って邪悪な笑みを浮かべながら、剣を地面に叩きつけた。
「母は暴行で受けた傷が元で病気になり、そのまま亡くなった。父は…そうね…行方不明とでも言っておこうかしら」
「行方不明…?」
ラトとロザラムは怪訝そうな表情で、首を傾げた。
「ええ。この力を得てカイストランドの指示に従う代わりに、彼等に一つのお願いをしたの。『父をこの世から抹消してくれ』ってね。そしたらきれいに消えてくれたわ」
「っ…!」
その言葉に、ラトは思わず肩を震わせた。
「話が横道に逸れたわね。父が暴力を振るうようになってから、私は家に居られなくなって近所の広場で一人寂しく遊んでいたの。その時、声を掛けてきたのがロイの妹、リアちゃんだったのよ」
「…リアちゃんが…」
ミリスは幼い頃のリアの姿を思い浮かべて、小さく息を吐いた。