どうしてか分からないけどその日だけは、こうちゃんの様子が気になって、お姉ちゃんには内緒で、家を出ちゃったの。
「こうちゃん! 待って!」
あたしの声に、いつもなら、すぐ振り向いてくれるのに……やっぱり変!
あたしは立ち止まったままの、彼の後に立って、何を言おうか迷ってた。
でも、あたしより先に口を開いたこうちゃんの言葉は、あたしの心を打砕いた!
「…なんで、出て来たんだ……まぁ、俺からすればいい機会だな、今日はっきり言うお前とはもう終わりだっ、二度と会わないいいな!」
(えっ! うそだよね…? こうちゃん。)
まさか、こうちゃんにこんな事言われるなんて、何がどうなってるのか分からない。でも、こうちゃんの表情は今まで見た事が無いくらい、冷たくて、切なさまで感じた。
それが、あたしの何かに触れて…
「いやぁー!!」
そう叫ぶあたしは、もう、自分が何をしてるのかも分からなくて
「みなみっ! 落ち着いて!」
お姉ちゃんが、来てくれなかったら、どうなってたか分からない。
(こうちゃん……。)
夢の中で、優しく笑い掛けるこうちゃんを追掛ける途中で目が覚め、ママや、お姉ちゃんの顔を見て、はっと起上がる。
「大丈夫? みなみ。」
「心配したのよ! み〜みなんで言う通りにしなかったの?」
ママもお姉ちゃんも分かってたんだ…。
あたしとこうちゃんがこうなる事。
「巫女様、あたしはどうしたらいい?」
この時のあたしは、自分でも不思議な位
冷静で、まるで別人の様な振舞で、ママもお姉ちゃんも、その様子に気が付いているはずなのに、気付かないフリしてる。
「みなみ、貴方にはまだ気付かないでいて欲しかった…でも…」
「分かってる、幸矢君の事は、今は考えたく無いから言わないで。」
「みなみ……」
無表情のままのあたしに、ママは絶え切れず、何か言おうとしたけれど、すぐにお姉ちゃんが遮り、
「みなみ、貴方に見せたい物があるわ。」そう言うと、あたしの手を取り奥の部屋へ。
そこは、巫女様だけが入る事を許された部屋。
言われるままそこに入ると、突然体の自由が効かなくなったと思ったら、
「これで、願いが叶うと言うもの……」
あたしの意思とは違って勝手に口が動いてる!
「やはり、眠りから覚めいたか!」
(ん……何?!)