つまりこの人は、おかあさんのことを、おばあさんといったの?
そのあとすぐに、私は台所にいって空瓶をとり、その人に渡した。
その人はありがとうございましたといって笑って帰っていった。若い男の人で、人がよさそうな笑顔だった。
だけど、その笑顔が気に障った。
その後友達のいる自室に戻ったけど、その気持ちは消えなかった。それは友達が帰るときもずっと引きずったままだった。
友達が帰った後、私はお風呂場で泣いた。
親を馬鹿にされたような気分だった。
確かにお母さんは白髪が交じっている。でもそれは、染める時間を私たち兄弟に充てているからだ。
お父さんが死んでから、一人で四人の子供の面倒を見てくれた。
そんな親を否定されたような感じ。
きっとその人は悪気もなく言ったかもしれない。
他の人にはわからないかもしれない。
けど私は悔しかった。
泣いている間色んな感情が交じりあってた。
その人に対する怒り。
親に苦労させてる罪悪感。親を馬鹿にされた悔しさ。
もしかしたら、お母さんの老いを改めて感じた不安もあったかもしれない。