スラム part31

やいち  2009-02-26投稿
閲覧数[586] 良い投票[0] 悪い投票[0]

「どうして大会に出てないんだよ。」
市瀬が聞いてきた。
「新人大会は出てたよ。」
「新人大会、ベスト8には残ってなかったのか。」

「論外だ。論外。俺一回戦落ちだぜ。」

「嘘つくなよ。」
市瀬が冗談だろ?っとでも言うような顔で言った。

「ホントだよ。俺は中学の大会以来、公式戦の個人は勝ちなしだからな。」

「本当なんだ。」

市瀬の顔が少し沈んでいるように見えた。

「今回の私学大会も出てないしな。そういや、個人、団体とも優勝おめでとう。」

「よせよ、うちの学校じゃ優勝、準優勝は当たり前なんだから。」

「そりゃそうだよな。県最強の名門校が私学大会で負けるわけねぇしな。インターハイ予選、俺も1、2回戦じゃ、翔星とは当たりたくないからな。」

正直な話だ。
市瀬の当たり前にムカつく人だっているかも知れない。俺だってムカつく。けど、これがトップ校の選手だ。そういう高校の選手は予選や、本戦の1、2回戦とかで負けるなんて考えるべきじゃないんだ。自分達が一番だって考えるやつがほとんどだ。
まあ、市瀬はそんなつもりで言ったんじゃないだろう。

「1、2回戦で、か。」

また少し表情が曇る。

「市瀬〜!!行くぞ」

翔星の選手が市瀬を呼んでいる。

「あっ、俺もう行かないと。」

「あぁ、じゃあな。」

「嘉谷!!」

翔星のメンバーの方に向かっていた市瀬が振り向いてもう一言言った。

「君はもっと上まで来れると思うんだ。じゃないと、俺が思っていたこと、全部崩れる。だから、インターハイ予選、上まで来いよ。」

そう言うと向き直って走っていった。

たぶん市瀬は俺の1、2回戦って言葉を上の方には来れないって思ったんだろう。
でも、俺は別にそんなつもりはないぞ。

お前に言われなくても、俺はちゃんと勝ち上がって見せるさ。

そう心に誓い、修二は家に向かって歩き出した。



投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 やいち 」さんの小説

もっと見る

スポーツの新着小説

もっと見る

[PR]
憧れのモデル体型
2800円で可能!?


▲ページトップ