神は7日間で世界を創りあげたといいます。
1日目に暗闇から光を創りだし昼と夜が出来ました。
2日目から空を創り、海が生まれ植物が育ち、太陽と月、魚や鳥や獣が生まれました。
そして6日目に、我々の祖先である”アダムとエヴァ”が誕生したのです。
ここは世界中のどこの都市にも在るといわれるスラム街。その一角に廃墟となっている小さな教会があった。
窓という窓は割られ、参拝者用の机や椅子は壊され、中央に在るべき十字架はそこには無かった。
ただ一つある聖書台に一人の青年が立っていた。
金色の腰まである長い神。長身で綺麗な顔立ち。つま先まである綺麗なカズラをまとい、腰には装飾の美しい剣をさげていた。
聖書台の前には、4人の子供が膝をかかえて青年の話を聞いていた。
「神様はそんなに沢山の物を創って、疲れないの?」
一人の子供が問いかける。
「神様もさすがに疲れてしまってね、7日目にお休みをとったんだよ」
青年は微笑みながら答えた。
「神様って、どんな格好をしてるの?」
「俺知ってるよ!すっごく大きくて、すっごく強いんだ!大きな牙と真っ赤な目をしていて、悪い奴らを倒すんだ!」
「違うわよ!すっごく綺麗な女の人で、背中には大きな羽があって、神様が歩くとお花が咲くの。いっぱい、いい〜っぱい!!」
「僕の神様は、ピエロの格好をしていて、お菓子で出来た家にいて、玉乗りしながらパンとかステーキとか、いっぱい食べ物を出してくれるんだ〜」
”違うよ!!”と、子供達は次々と神様の事を話し始める。子供達の突拍子もない発言に青年は肩を震わせ笑った。
「ああ〜!笑ったな!クロム!!」
青年の名はクロムという。
「いや、ごめんね。いろんな神様がいるんだなって思ってね」
クロムは聖書台から離れ、子供達の前にしゃがんだ。
「‥でも、君たちの神様はどれも間違っていないよ。神様は君たちの中に居て、君たちの信じる姿に変わっていく。一人一人の心の中に何時も居るんだよ」
クロムは一人の少年の胸に手をかざし話した。
「クロムの中の神様って、どんな形なの?」
「・・・・!」
少し戸惑った。
つづく