それから1週間後…
マルシア夫人宅に念願の人形の子供たちがやって来た。
人形幸せ工房から夢の玩具宅配便で届けられたのだ。
2頭のトナカイロバに引かれてやって来た金色の宅配便車。
ピエロもどきの配達人が車を下りた。
「おっ待たせしましたァーッ! 可愛い子供たちのご到着でーす!
軽快な音楽が流れる中、配達人は車の扉を開け始めた。
「ワタシダケノ、コドモタチ! タノシミ!」
ワクワク気分のエルファ。
「ではどうぞ!」
中扉のスイッチを入れる配達人。
カランコロンと鐘が鳴りながら、中扉がゆったりと開き始める。
中を覗き込むエルファ。
布貼りの室内に沢山の小さな人形たちがくつろいでいた。
一斉に、エルファに視線を向ける。
皆、エルファを幼くしたような作りの女の子の人形たちである
クルリとした眼が、とても可愛い。
「コンニチハ、ワタシダケノ、カワイイ、コドモタチ」
「…」
子供たちは目をパチクリさせながら、エルファを見つめる。
両手を広げるエルファ。
「ワタシハ、ママ。ワタシハ、ママ。ママ、ママ、ママヨォ」
すると、子供たちは目を輝かせて…
「ミャミャーッ! ミャミャーッ!」と大喜び。
子猫の鳴き声のような声のトーンである。
ピョンピョンと飛び跳ねて両手を広げる子供たち。
「サァ、ミンナ、ワタシタチノ、オヘヤ二、ハイリマショウ!」
「ミャーイ!!」
子供たちは一斉に、ぞろぞろと外へ出て来た。
エルファママと一緒にワイワイ言いながら、部屋に入って行く。
「可愛い子供たちネェ!」
マルシアも大喜び。
これからの共同生活が楽しみになって来た。
「奥様、受取書にサインをお願いします」
提示された書類にサインをするマルシア。
「業務の方はどう?
結構、忙しいでしょう?」
「お陰様で。いつも、バタバタですよ」
「結構な事じゃない。
人形を買ってくれる人が多いって事は」
「奥様の方は、お体の具合は如何ですか?」
「随分と良くなったわ。 あの薬は結構、効くみたいネェ?」
「でしょう? 国で一番、解毒力の強い薬草を原料が使われているんですよ」