帰り道、市瀬の言っていたことを思い出していた。
そういえば、市瀬のほうが正しいな。
たしかに俺は新人大会に出ていない。
出たのは夏の総体だけだ。
あいつ、よく知ってるな。
そう思いながら修二は歩いていた。
まだ3時過ぎか。
市瀬は俺に勝ち上がって来いと言った。
俺だって勝ち上がるつもりだ。
あいつに中学の借りを返さなきゃいけない。
まだ俺は弱点は治ったかどうかわからないし、市瀬は俺と違ってトップ校の練習を1年続けている。
この差は埋めれるかなんかわからない。
どうなるか最後までわからないから柔道は面白いんだ。
そう思いながら修二は携帯をだし電話をかけた。
「はい、もしもし。大会終わったのか〜?」
のんきな悠の声が聞こえる。
「あぁ。練習終わったのか?」
「ううん、今休憩。今日は5時までやるんだって。」
「そっか。俺、今からそっち行くわ。」
「どうしたんだよ。急に。」
「今日は柔道がすげぇやりてぇんだ。」
「まぁいいや。早く来いよ。練習始まるからまたあとで〜。」
「おぅ。」
そう言って。電話を切り、道場のある学校に向かって歩き出した。