「三日くらい経ってもまだ広場に来てくれなかったから、何かあったのかと思って彼女の家まで行ってみたの。そしたら中からロイの母親が応対に出て、悲しそうな顔で『リアは…死んでしまったの…。ごめんなさい…』って言ったわ」
ユミナは小さく息を吐いて、顔を伏せた。
「私は『どうして?』という疑問の言葉を口から出そうと思ったけど、できなかった。その母親がとても悲しそうに、そして、本当にすまなそうな目で私を見ていたから」
「…」
ロイは逸らした目をぎゅっと閉じて唇を震わせた。
「その日の夜、父からリアの死の真相を聞かされて、私はしばらく呆然となったわ。ロイが火の魔法を草原で使った結果、その火が草に燃え移ってしまい、風の影響でリアちゃんがいた場所が火の海になった…。最初は嘘だと思ってしまったわよ」
「そんな事があったのか…」
ロザラムはそれを聞いて、驚いたような表情を浮かべた。
「…ああ、そういえば貴方は火で人生が狂ったんだっけ」
ユミナは鼻で笑いながら、ロザラムを見た。
「…黙れ…」
ロザラムはユミナをギロリと睨みつけ、剣を握る手に力を込めた。
「おお恐い恐い。…ロイに対する怒りの感情とかは、まだその時点では無かったのよ」