久しぶりに地元に帰っていた
大失恋を経験した後
地元を離れて暮らしていた
懐かしい風景
よく通っていたファーストフード店にいった
「いらっしゃませ」
レジの向かいに立ち
店員に伝えようと
顔を見た瞬間
言葉が出なかった
店員も目丸くして
驚いた表情をしていた
地元を出るきっかけの別れた彼女だった
なんとか注文を済ませた後
番号札を渡され、これ以上ない緊張でメニューを待った
彼女と目が合う
どちらからともなくそらす
何回か繰り返してるうち
料理を持って彼女がきた
「お待たせ…いたしました」
別れてからも彼女の夢は何度も見た
直接声を聞いたら、ますます緊張が増してきた
「久しぶり」
なんて軽く声をかけるほど器用でもない
メニューを置いた彼女はレジ奥へ戻っていった
味が濃い食べ物なのに
全く味がしない
それほど緊張していた
また何度も目が合う
(まだおれの事が好きなんじゃ…)
思うのは自由だ。
(なんとか話すきっかけを…)
セットで頼んだアイスコーヒーを一気で飲んだ
そして勇気を出してレジに向かい
「…アイスコーヒーひとつ」
ダメなおれだった
「はい」
(仕方ない。彼女が席に持ってくるのを待とう)
戻ろうとした時
「お待たせいたしました」
即コーヒーを渡された
コーヒー片手に席に戻る
なんとかきっかけを…
もうコーヒーは一気飲みできない
考えてるうちに
「お疲れ様でした」
奥から彼女の声
(ヤバイ、帰ってしまう)
彼女が私服で店を出ていった
さっきまでいた男の店員と腕を組んで。
(世の中そんなもんだよな…ハハ)
もう一度、ハンバーガーを頼んだ
ゆっくり味わって食べたハンバーガーは
少し味が濃かった