Push!Push! #10

ねむしゅー  2009-02-28投稿
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男は見ていた雑誌を横に置き
すっと立ち上がった

ヤバイ!殴られそう

そう思い

「初めまして、土曜練習に来てる…」

挨拶したのに
男の歩みは止まらない

真ん前に男が来た

殴られる覚悟を決めた

ガチャ
ドンっ

男はおれの横にある
トイレに入っていった

少しふらっとするほど
安心した

ガチャ

その男がトイレから出て来るなり

「あぁ、ゴメンゴメン。我慢しててさぁ、ヘェー土曜行ってるんや。土曜といえば…」

話が終わらない

見た目通り? いや、見た目と違って…?

すごく軽いノリだった

とにかく彼は喋る
何分喋るんだろうか…

まだおれは荷物さえ置いてない

質問されるわけでもなく
ただ、うなづいたり、愛想笑いをしていた

そして話が切れたのを見計らい
荷物を置き、準備体操をした

彼はまた雑誌を見だす

この人練習しないのかな…

サンドバックは一つしかない
やはりここは縦社会に習って

「サンドバックいいですか?」

男は雑誌を持ったまま

「あ、叩くの?いいよいいよ。おれさっき終わったし。んでさぁ…」

失敗した。また話が終わらない

かと言って人間性はどうあれ
多分、先輩…
話してる途中にサンドバックは叩けない

(一段落するまで、準備運動するか…)

何回も同じ体操をした

話が終わると
30分が過ぎていた

満足したのか、男はまた
雑誌を見出した

この男がどれくらい強いのか
知りたくなり
自殺行為とは思いながらも

「あの、おれ入会したばっかりで…」

教えて下さい。と
頼んでみた

男はこっちを見た
なぜか常に笑顔だ

「空手〜?あんまわからん〜。へへ」

拍子抜けした

その一言でまた雑誌を見出したのだ

(掴めない…)

営業という職種で、いろんな人を見てきたおれは

多少だが、人を判断できる自信があった

しかしこの男は…

おれが練習中、雑誌を見ていたと
思った男は、いつの間にか消えていた

なんだかペースを崩された

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