サイアイ

パパさん  2009-02-28投稿
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私の娘は大阪のY市の病院で産まれた。ちょうど奈良で母子が病院の受け入れを断られ母親だけ亡くなったニュースを思い出す…。
私の妻も奈良の女性と同じく救急車で病院に運ばれた。妻はすぐに病院に入る事が出来たが…病院にとって救急車で運ばれてくる患者は厄介者なのか…。人の命を左右する者にとって命とは物でしか無いのか?子供から母親を奪った病院はこれから先この生まれてきた子供に恨まれるだろう…
ただ私の嫁はそんな事なく、娘を元気に出産してくれた。
私の子供は早産により、1540?という普通の子供の半分ぐらいの大きさで産まれた。これからの苦労を考えると…。『親が苦労するのはいい』何の罪もない子供が親と離なされ、すぐに抱かれることもなく、保育機という箱の中に入れられて、隔離される。この時は当然なのかもしれないが、やっぱりやり切れない気持ちになった。私はまだましだったのかもしれない。妻はどんな気持ちだったのだろう…。それは想像を超えるものだったに違いない。
娘の姿を見たのは出産から3時間後のことだった。娘には色々な器具がつけられ顔にはマスクがついていた。『顔を見ることも、手を触ることも、抱きしめる事も…』なにもできない。目の前にあって触ることも、触れることも出来ない幻覚と同じだ。そんな気持ちのまま娘を見つめていたら涙が止まらなかった。心のなかで『ごめんね、ごめんね』ってずっと謝ってた。妻も同じ気持ちだったのかもしれない。
普通の人は『保育機って何?』と思うだろうが私達も同じだった。一言で言えば集中治療室の子供番と言えば分かるだろう。『ピコーン、ピコーン』と心電図の音が不安にさせる。その心電図の音が『ピコーン、ピコーン』から『ピピピ、ピピピ』に変わるとドキっとするし、それが我が子でなくても…。お互いにみんなここに来る人は思っているだろう。
30分ぐらい娘を見つめ、妻を病室に送りその日は家に帰った。哀しい日々の始まりだった。

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