エルファ・人形残酷物語6

ぐうりんぼ  2009-03-01投稿
閲覧数[368] 良い投票[0] 悪い投票[0]

 賑やかな声は、部屋の外まで聞こえて来る。

「何なんだよありゃ?
 さっきの態度と大違いじゃねえか」

 ジャックは複雑な気持ちで立ち聞きしている。

 電話をかけに行ったマルシアが戻って来た。

「中の様子はどう?」

「とても賑やかです」

「さっきの冷酷な態度とは、大違いなのネェ」

「人形協会は何て、言ってるんです?」

「エルファのようなタイプの人形は、自分の子供を守ろうとする強い母性反応が働くらしいわ。
 特に、初めて子供を手にした頃は、周りへの警戒感が強くなって…
 誰とも口をきかなくなるみたい」

「じゃあ、さっきの行為は何だったんです?
 自分が守るべき我が子を、いとも簡単に踏み殺してしまった」

「子供を勝手に触られたって言う、怒りと警戒感の表れじゃないか?
 協会の方はそう、見ているわネェ」

「だとしたら、子供たちには迂闊に触れませんネェ。注意しないと又、子供が殺されますぜ」

「大丈夫じゃないの?
 長くても、1ヶ月ぐらい私たちが注意すれば。
 そのうち段々と、向こうから心を開いてくれるらしいから」

「そう、なってくれたらイイんですけどネェ」

 気持ちがスッキリしないジャック。

 傍のテーブルの上には、踏み潰されたレレが白い布に包まれて置かれてあった。

 既に…

 息はしていない。

 エルファママの愛に触れる事もなく…

 他の子供たちと楽しく過ごす事もなく…

 1人寂しく死んでしまったのだった。



 可哀想に…



投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 ぐうりんぼ 」さんの小説

もっと見る

ファンタジーの新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ