襖を開けてみた。
布団と荷物でいっぱいだった。さっきの呼ぶ声はなんだったんだ? 気を取り戻して見つけた靴下を履いてるとまた押し入れから、おいっと声が聞こえてきた。
間違いない!一度シカトした。
すると、すぐ耳元で おい!お前だよ!お前!
針で刺された感覚が全身に広がった!目だけ動かす。誰も居ない!暖房の風をふさぐ何かがいる!
あー、この部屋から出たい。だが、体が動かない!
空気が圧迫されてくる。心臓が破裂しそうだ!目を閉じた瞬間ある顔が浮かんだ!あのトラックで引かれ死んだ男の顔! 目を開けた。体が動いた!すぐ立ち上がり、窓の外を見た。友達がまだ歩いてる!あれから殆ど時間が経ってない!
おれは部屋を出て友達を追った!
体が軽くなっていく。アパートから出て友達へと走る。
ふと、視線が背中に刺さる感じに襲われた、立ち止まり振り向いた!アパートを見た!友達の部屋、誰も居ないはずの部屋、目を疑った!
あの男!トラックに引かれたが男が腕を組んで部屋の中から俺だけを見ていた! 立ってられない!鳥肌が全身をまわった!