「…それが、彼を殺そうとしている理由か?」
ロザラムは厳しい表情で、ユミナに尋ねた。
「ええ。…けれど、それだけでは無いわね。ロイの持つ能力を知った事も大きかったわ」
「ベイスを攻撃した時の事か?」
「そうよ。あの事があって以来、ロイと全く会っていなかったのだけれど、ベイスに行った時に久しぶりに彼を見たわ。その時に、グラムも感じていたけれど、彼に特異な能力がある事が分かったのよ」
「…私もそれは感じていた。だから、まず一番に殺さなければならないと思っていた」
ユミナの言葉に、ロザラムは相変わらず厳しい表情で頷いた。
「…」
ラトは驚いたような表情で、ロザラムとユミナ、ロイを見た。
「だが…この身は既に王国の虜囚となっている。それに大切な者達もいる。残念だが、お前と共に破滅に向かう気は無い」
ロザラムはそう言って、ゆっくりと剣を構えた。
「残念ね…貴方とはいいコンビを組めそうだったのに」
「どうしてそう思う?」
「貴方が私と同じ目をしているからよ。幼い頃に耐えがたい屈辱を受けた事のあるような哀しみと怒りが混じった目…。貴方はそれを持っているわ」
「…」
ロザラムは不愉快そうな顔をして、一つ小さく息を吐いた。