暑い夏の日、この少年の物語は始まる。
少年の名前は将太。彼は兄が二人、妹が一人の4人兄弟の三番目。
彼が不良少年と呼ばれ始めたのは、兄の影響が大きかった。
兄の行動をみている大人は弟も同じに見えたのだろう。
そんな大人が思った通り、将太は鑑別所に14才で入り、16才の時には少年院に入る事になっていた。
将太は真面目になろうと真剣に考えた…。
しかし、外に出てからが将太の地獄の始まりだった。
世間は少年院や刑務所から出てきた人間に手を差伸べるほど優しくはない。
仕事に就いてもどこからか…
『あいつは、少年院から入っていた人間だからやめさせたほうがいい。』
という声が将太には辛かった。
『真面目になろうと頑張っているのに…』
そんな大人の声が将太の心をどん底に陥れていく。
『大人は不公平だ、』
将太は世間からはみ出すように再び犯罪に手を出し始めた。
窃盗、暴走行為、恐喝、ひったくり、…。
不良の生活に戻ると将太を大事にしてくれる人はいくらでもいた。
将太にはそれが何事にも変えられない掛け替えになっていた。
『楽しいな。自由だな。』
『俺達は、ルールに縛られるのが嫌なだけだ』
自由な生活できる環境が将太を幸せにさせた。
そんな生活にも終わりが
一歩、一歩、
と近づいて来る。
朝早く何故か将太は目を覚ました。
『嫌な予感がする…』
『ガタガタ、ガタガタ』
いきなり大勢の男が部屋に入ってきた。
『警察だ。〇〇 将太だな。障害で逮捕状が裁判所から出ているから…7時38分…逮捕。』
大人達がまたしても将太の幸せを奪ったのだった。