あの時のあの感情を、忘れるのか、忘れたいのか。
今はもう。
どちらにしてももう、隣にいない。
去年の終わり、六年間の夫婦生活に終わりを告げた。
彼は泣きながら名前を書いた。
子供は私が引き取る。
当然のことだ。
彼にはほとほと呆れていた。
もう、夫婦三年目くらいから私は諦めていたのかもしれない。
酔っ払うと女性にだらしなくなる。
ナルシスト。
色々あるものの。
もう私自身、感情が薄れていたため、そんな事どうでもよくなっていた。
自分が不幸な人間の気がしていた。
主人と体を重ねても、何も感じなくなっていた。
早く終われ。
ただそれだけ。
書類の申請も終わり、ホッとしていた。
仕事だけは続いていた。
あまり考えない様にする為にもそれは適した行動だった。
会社では、それなりに働いていた。
容姿は悪い訳ではない為か、安い女に見えるのか、男性からのアプローチは何度かあった。
いまいち乗れず、断る毎日。 彼はその中の一人にすぎなかったはずなのに。
今は彼のことばかり頭をかすめて離れない。
そんな事を考えながら、隣で可愛く眠る子供たちの額にキスをして私も目を閉じる。