ダルとエドの頭の中には最悪のイメージしか浮かばなかった。手の力が抜けたようにニッケルとラドンの袖を離した
「クソッ!?」
ダルが地面に拳をたたき付けた
「なっ何でM.Tの所に!?」
エドは先ほどのカーチェイスの時と違い絶望的な顔をしてストンと膝を地面に降ろした
「一体何処なんだ?M.Tを監禁した場所は!?」
2人が動揺しているとリスターが今の状況を聞いてきたのでM.Tの現状について簡潔に短く説明をすると
「彼女の携帯から電話していたんなら携帯のGPSは?」
リスターが思い付いた様に言うがダルがすぐに首を横にふった
「こいつらが、車の中にM.Tを乗せてない事が分かった時に彼女の携帯に電話をかけたんだけど、電源が切られていたんだ」
ダルは、携帯の発信履歴をリスターにみせながら話した。ニッケルたちは探索を予想してM.Tを監禁した場所から出る時にM.Tの携帯を壊したのだ
リスターは、ダルの言葉を受けて悔しがったがすぐに
「では、今までのこいつらとの会話の中にヒントになるような音があるかもしれない!君達は全ての会話を録音したのだろ?」
リスターが提案するとダルはすぐに録音を流した。エドの携帯は壊れていたが、幸いな事にニッケルはダルにしか電話をかけてこなかった
2人は最後の希望をかけて最大音量で流した録音に耳を澄ませた。周囲にいた警官も口を閉じて静かにしていた
再生されると憎らしいニッケルのセリフが広場に響いた。リスター達警察は、こんな青年が危険な事件に巻込まれていた事に驚きを隠せなかった
最初の再生が終ったが収穫は無かった。ダルは焦るように次を再生しようとした時だった
「波の音が聞こえたような……」
エドの近くにいた警官が呟くように言うと
「「本当!?」」
ダルとエドが聞くと警官が頷いた。ダルがすぐに最初の会話を流した。耳を澄ますと本当に微かだが波の音らしき音が聞こえた
「本当だ。微かだが聞こえた」
「と、言う事は海の近く?…確かにこの街は海に近い」
エドが推測すると
「確かに…1人が俺らを監視してこいつと合流したのならそれ程遠くないはず」
ダルが裏付けをして2回目の会話を流したが、波の音しか聞こえなかったのだ!
2人に焦りが積る!