10も歳が離れている。
最近太ったという。
元から肉付きのいい体だった。
左胸に手のひらの半分ほどの彫り物。
(私は刺青が嫌い)
はっきりした顔つき。
太くて濃い眉、大きな目、背の高く力強さを感じる鼻、厚い唇。
すべて私の理想とは真逆。
どうしてこんなにも頭からはなれないのだろう。
好き。まだそこまで辿り着いていないはずなのに。
昔から、十代の頃から、私には確信がある。
心と体はベツモノだ。
心で惹かれていても体が満たされるとは限らない。
それは逆でも同じ事。
今でも変わらず毎日のように連絡を取り合う姉には、その事は話していない。
色気違いだといわれるに決まっている。
彼を思い、ボディーソープを薔薇の香に変えた。
子供達とお風呂に入りながら、ボディーソープを素手で体に滑らせる。
子供たちには苺ミルクの香り。
浴槽に浸かる。
香りが風呂に充満する。
私は満ち足りた気分で浴槽を見渡す。