狭い室内。
何人ものヒトが詰め込まれるように座っている。
寝る場所は狭いが、水分や食料は充分摂る事ができる。限られた時間と範囲内なら、外へも自由に出られる。
特に不便だとは思わない。
ここで生まれて育ったからだろうか。これが普通の生活だ。
いつものように食料が運ばれてきた。
ここにいる数人には、最後の食事となる。
食事が終わって暫くすると『お迎え』が来た。
嫌がるヒトもいるが、抵抗したって仕方がない。ほとんどが最初から諦めている。
そのために生まれてきたのだから。
ここは食用のヒトを育て、出荷する施設だ。
食用として改良されたヒトは、高級肉として重宝されているらしい。
消費するのは、人間だ。
外の世界には、ここから出荷されたヒトがパック詰めにされて並んでいるのだろう。
外の人間が、元は同じヒトの肉だと分かって食べているのかは知らない。興味もない。
食料に余計な感情は必要ないのだから。
ああ、お迎えだ。
それでは、
近いうちに、あなたとお会いできるかも知れません。
その時はどうか
美味しく召し上がってください。