向こう側のホームにいるもう1人の自分は…。
険しい表情で何かを叫んでいた。
しかし、すぐに悲しみに満ち溢れた表情に変わり…
暗闇にスッ…と消えた。
しばらくして、またもう1人の自分が現れて…。
今度はイスに腰掛けて、無気力で虚ろな表情で…
こちらを見つめている。
そしてやはり、しばらくすると暗闇に消える…。
意味は分からないが…。
何故だか心がズキズキする。
あれは…
間違いなく…
俺自身だ…。
姿形が同じだからそう思うんじゃない…。
何となく、わかる…。
あれは…、
自分自身だ…と。
目を背けたい。
そんな自分ばかりが映し出されている気がして…。
正直、辛い気持ちでいっぱいになる。
なんなんだ…あれは…。
なんで…。
目を背けたら
そこで終わり
だって『あなた』は
あなた自身なんだから
…また暗闇からもう1人の自分が映し出された。
もう、止めてくれ…。
しかし…。
今回は少し様子が違った。
もう1人の自分は…、
何か一生懸命に走っているようだ。
鼻水が垂れている。
酷い顔だ。
でも、その眼差しは真っ直ぐで…。
何かに吹っ切れたような、表情であった。
しばらくして立ち止まり…。
いきなり俺に向かって、こう叫んできた。
『もう、意地はるな。』
…。
……。
ふっ…。
…そうだよなぁ。
意地はったら…前に進めないよなぁ。
電車のドアが閉まります
電車
発車します
いきなりのアナウンス。
俺は、反射的に電車に乗り込んでいたー。
つづく