夜行列車、あなた行き?

めるく  2009-03-04投稿
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向こう側のホームにいるもう1人の自分は…。

険しい表情で何かを叫んでいた。


しかし、すぐに悲しみに満ち溢れた表情に変わり…

暗闇にスッ…と消えた。




しばらくして、またもう1人の自分が現れて…。

今度はイスに腰掛けて、無気力で虚ろな表情で…

こちらを見つめている。



そしてやはり、しばらくすると暗闇に消える…。







意味は分からないが…。



何故だか心がズキズキする。



あれは…

間違いなく…

俺自身だ…。



姿形が同じだからそう思うんじゃない…。

何となく、わかる…。

あれは…、

自分自身だ…と。




目を背けたい。

そんな自分ばかりが映し出されている気がして…。

正直、辛い気持ちでいっぱいになる。

なんなんだ…あれは…。

なんで…。






目を背けたら



そこで終わり



だって『あなた』は



あなた自身なんだから






…また暗闇からもう1人の自分が映し出された。

もう、止めてくれ…。




しかし…。
今回は少し様子が違った。


もう1人の自分は…、

何か一生懸命に走っているようだ。

鼻水が垂れている。

酷い顔だ。

でも、その眼差しは真っ直ぐで…。

何かに吹っ切れたような、表情であった。


しばらくして立ち止まり…。

いきなり俺に向かって、こう叫んできた。




『もう、意地はるな。』




…。


……。


ふっ…。


…そうだよなぁ。


意地はったら…前に進めないよなぁ。





電車のドアが閉まります

電車

発車します



いきなりのアナウンス。


俺は、反射的に電車に乗り込んでいたー。


つづく

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