数時間後
「なぁ、なぁ」
リクトはその辺りに落ちていた本や処理せずに残していた書類を片付け、ダラードは暇ではあったが、眠ることによってなんとか時間を潰した。だが、眠たいほど体力を使っておらず、そのうえ空腹感が襲ってきたダラードは目を覚ました。
「何だよ」
リクトとしては起きないで欲しかったが、起きてしまっては仕方が無いので相手をする。
「腹が減ってきちまったんだが、どうすりゃいいと思う?」
「そうだな、俺は腹が減ってないと自分に催眠術でもかけたらどうだ」
とはいいつつも正直のところ彼にも空腹感がある。
「それは名案だが、俺は手が使えないと催眠術ができない。そこで提案なんだが・・・」
「断る」
大体なにを言うのかを予想出来たリクトはそれが聞こえる前に紡がれようとする言葉を遮断した。
「・・・じゃあ飯をくれ」
どこか不満そうだが普通は正直にそういうべきであろう。
そんな態度のダラードに苛立ちながらも、食事を取らせない訳にもいかないので食事係へ通信を入れる。ここでは食事係というものがあり、毎日の食事は彼等が作り持って来る。
「少し待っとけ、持ってくるまで時間がかかる」
「へ〜、持ってきてくれんのか?いいな、それ」
「そうでもねぇよ。異世界の物は口に合わない事が多いからな」
(ああ、何説明してんだろ俺)
犯罪者に説明しているというなんともいえない気分に陥り、ついつい昨日の事を思い出してしまう。
(大体、あんな状況で投降するか?)
ある意味滑稽な昨日の出来事を。