『‥‥しゃーねぇな。高いゼ?!』
聖人は、そう言うと椅子から立ち上がり、
ミズホさんから受け取ったばかりのマイクを、氷室スタイルに持ち直すと、
“わがままジュリエット”を歌ってくれたんだ。
無き顔でスマイル
すりきれてシャイン
踊るならレイン
ピントはずれの
わがままジュリエット
『へぇ〜♪上手いじゃん?!聖人。
ねぇ、奈央ちゃん?!』
ミズホさんが、大きな瞳をキラキラさせながら、あたしに言った。
『はい‥‥。あたしもビックリしちゃいました。』
迷わずそう答えた。
だって、上手なんだもん。
聖人の歌。
不思議だ。
聖人の声って、歌うと少しハスキーに聞こえる。
まるで、本物の氷室みたい。
『あー、そうそう。実は俺も昔からBOOWY好きなんだよねー。歌っちゃっていいかなァ???』
聖人の歌に、うっとり聴き入っていた、あたしとミズホさんに向かって、
不意に発せられた、サトル君の言葉が、
ミズホさんを少し、ムッとさせてしまったみたい。
『しーっっ!!
サトル、うるさい!!今、聖人が歌ってんじゃん。静かにして!!』
『分かったよ。ちぇッ。』
ミズホさんの言葉に、さすがのサトル君も反省したみたい。
『Thanks!!愛してるゼ!!』
歌い終えた聖人は、あたし達の期待に応え、
最後は氷室のライブでの決めゼリフでしめてくれた。
『キャーッ!!カッコイイ!!
聖人、氷室サンそっくり〜!!』
ミズホさんてば、
すっかり、はしゃいじゃって。
やっぱ、可愛いな♪
『うっせーな、ミズホは/////
だまって歌わせとけよな/////』
あはっ。
聖人も照れてるし。
照れ屋なんだよね。
ダイスキ☆
♪ ♪ ♪ ♪ ♪〜
その時、すごい大音量で、またまたBOOWYの曲が、かかったんだ。
『ジャスティ〜♪
季節はずれのアイリス〜♪』
えぇえ?!
サトル君が聖人に対抗して、BOOWYの“JUSTY”を入れたんだ。