僕の右手に乗せた涙は
あなたのための涙です
僕の左手に乗せた心は
僕のための心です
あげられない
心までは
あなたのために泣くことはできても
しょせんはその程度
愛なんて言っても口先ばかりで
じゃあやめましょう
くだらないことを語り合うのは
信頼すら築けない不器用な僕らは
しょせん濁った水溜まり
風が吹けば簡単に揺らいで
太陽の力ですぐに蒸発する
はかなくちっぽけな水溜まり
でもねえ
虹をうつすこともあるにはあって
時には笑いながら肩を叩き合って
だから
空と大地をつなぐ雨が
作る水溜まりも悪くはないと
微笑むあなたを見ていたら
なんだかほっこりと幸せになって
僕らの間に愛はないけど
馴れ合いと喧嘩と小さな優しさ
まるで太陽に水面を光らせる水溜まりのようにぬるい日々を
今日も一緒に生きてる
贅沢言わなきゃ
これも結構幸せだって
ね
空にはなれなくても空をうつすことはできるから
今はそれでよしとしようよ
……なあんて、他愛のない会話をして過ごす午後。