「言葉…?」
マギウスはそう呟いてから、何かに気付いたような表情で、目を大きく見開いた。
「『こんな紙切れ一枚ではそんな証拠にならない』そうお主は言った。この『一枚』という言葉が命取りになったようじゃな」
エリウスはそう言って、懐から数十枚の紙切れを取り出した。
「お主とダリウスが密会をする時間を書いた紙切れじゃ。既に仲立ちをした者から助命と引き換えにして、事情を全て聞いてある。逃げ切れぬぞ」
「…一つ、聞かせて下さい」
「何かな?」
「最初の紙切れ。あれはどうやって手に入れたのですか…?」
マギウスは悔しそうな表情で、歯をぎゅっと噛み締めた。
「お主の雇ったソードメーカーからじゃよ。ユミナ…とかいう女か。力を与える為に彼女を城へ案内した時、お主の机の上にあったものだそうじゃ」
「!」
その言葉に、マギウスは驚いて息を呑んだ。
「彼女はこう言っておったよ『あの男の目は信用できない。この紙が何を示しているのかは知らないが、一応貴方に渡しておく』とね。それと『言われた命令はきっちりやる。だが、私は父を消した事を感謝している訳じゃない』と。…複雑な女じゃったな…」
エリウスはユミナの顔を思い出しながら、息を吐いた。