「ヒッ‥!!」
子供達が声をあげた。
「聖書台の後ろに隠れていなさい」
「‥でも、クロム‥」
「早く!」
子供達は鼻をすすりながら聖書台の後ろに隠れた。
「無力な子供に手を上げるのは、大人のすべき事ではない!!」
「へっ!”しんぷ”の説教なんて聞きたくね〜な。その高そうな剣をこっちによこしな!」
ゴンザが指を鳴らしながら近づいて来た。
クロムが剣を抜こうとした瞬間、軽い風が顔にあたり、目の前の視界が黒くさえぎられた。
「いでーー!!」
その瞬間、ゴンザの悲鳴が聞こえた。
「憂牙!!」
憂牙はゴンザの組み合わせている両手首を片手でつかをでいた。ゴンザはあまりの痛さにうずくまってしまった。
「なっ‥なんだ、こいつ!!」
チンピラ風の男は、うずくまっているゴンザの姿を見て、持っている銃を両手で強く握り締めた。
憂牙はゴンザの横をゆっくり通り過ぎ、チンピラ風の男の前に立った。
「お前、この銃が見えないのか!」
男は憂牙に銃を突き付ける。
「よく出来たエアーソフトガンだな。この銃と勝負してみるか?」
そう言って、男のエアーソフトガンの銃口の高さに銃を突き付けた。
「さあ、撃ってみな」
不適な笑みを浮かべ、憂牙は言った。”ヒィィィ〜”という声と同時に、チンピラ風の男は銃を床に落とし教会から逃げたした。
銃口は、うずくまって涙を浮かべ腕をさすっているゴンザに向けられた。
「お前はどうする?」
「ゆっ、許して‥」
「ゴンザ!!!」
ゴンザの言葉をさえぎって、甲高い女ね声がした。
「ああ〜、ゲン婆!」
「ばっ、ばーちゃん!!」
子供達とゴンザが、驚いて教会の入り口に立っているゲン婆に向かって叫んだ。
ゲン婆の足元には林檎が入っていた紙袋と、真っ赤な林檎が四つ転がっていた。
「あっ、あんた!」
そう言いながら、凄い剣幕で杖をカツカツと早く鳴らしながら、憂牙とゴンザの前に駆け寄った。そしてもっている杖を高く振り上げ、”ガッツ!!”と、その杖をゴンザの頭に振り下ろした。
つづく