28歳の11月…。
私は、重い口を開いた。
『私、多摩さんが本当に大好き。もう、この先こんなに好きになれる人は現れないと思ってる。だから結婚したいの。多摩さんが、結婚を良く思ってない事はわかってる。でも、私が幸せにするから。クリスマスに返事ちょうだい。それまで、会わないからゆっくり考えて。』
私は覚悟を決めていた。
長い1ヶ月…。
街がクリスマス一色に染まるなか決断の日がやって来た。
買い物をし、ご飯を食べ普通のカップルと同じように過ごした。街ですれ違う人も、今から私に起こることなど誰も知らない…。
クリスマスを楽しんだ私は、多摩さんを自宅へと送った。
家が近づいても、多摩さんは返事をしてこない。
思いきって、私から切り出した。『あの返事は…』
『…』長い沈黙。
心臓の音が聞こえそうなくらいドキドキしている。
そして、遂に『前にも言ったけど、親も離婚してて、周りに幸せな人いないんだ。結婚ってなんだろう?って…。今すごく楽しくてそれだけじゃ駄目なのかな?ごめん。それでも一緒いたいんだ。』
想定内…。
いや、予想通りの答え。
『ごめんね。』それだけ、言い残し、私は車を走らせた。