見えない糸 16(完)

もう30歳  2009-03-06投稿
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『多摩さんが幸せにしてよ!』そう叫びたかった…。
まだ、ふっ切れない自分が嫌になる…。
月日は無情にすぎ、とうとう出産の日がやって来た。
20時間近くもかかる難産で、3470gもある元気な女の子だった。
我が子を抱いた私は、泣いた。それと同時に、この子を守らないと って強く思った。
今の気持ちのまま、母親になれない。
私は、病室のベッドでメールを送った。
『突然ですが私、赤ちゃん産みました。正直、妊娠中も多摩さんを忘れられなくて、駄目な母親でした。でも、私は今、本当に守らないといけない者が出来ました。だから、今度こそさようなら。7年間ありがとう』
こうして、私は多摩さんからやっと、卒業できました。
一時は『赤い糸の運命の相手』だとまで思った人。赤い糸じゃなかったけど、今は、見えない糸で繋がってたんだって信じてる。
今は、子供も1歳3ヶ月。おてんば娘に育ってる。
いつか、この子も私のように恋をして悩んだり泣いたりするんだろうか?
私は随分遠回りして、時間もかかったけど、この子も本当に愛せる人と巡り会ってほしい…。
30歳になった母は、心から願う。


【完】



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