「うん・・・。自分でも、よく解らなくて。淳の事、まだ好きなのかも、執着してるだけなのかも・・・。」
麗華の顔は、怒りや、苛立ちに満ちていた。
「香里、あんたねぇ・・・。」
その時、茉莉子が席から立ち上がり、会話に割って入った。
「まぁ・・・、良いじゃん。麗華もさぁ、そんなに、苛々しないの。今日、イベントが終わってからでも、一度、淳とちゃんと話した方が良いよ。分かった?」
麗華は、溜め息を付いて、そっぽを向いていた。呆れて物も言えない様な感じだった。
何もかも、解って貰おうと、昔の事を話そうと迷ったものの、やはり、時間が経つ毎に、変なプライドが邪魔をして、話す事が出来なかった。
気不味い空気に、押し潰されそうになっていた。アッと言う間に、店に入ってから、小一時間が経っていた。
「もう、三十分前だよ?そろそろ、行く?」
気不味い空気に、耐えられ無くなった茉莉子は、ポツリと呟いた。
「そうだね、早く直接、淳にも聞いてみたいし。」
一度、苛立ちを見せて、収集が付かなかったのか、少しすねた様な素振りをしながら、椅子から立ち上がると、私と目を殆んど合わせずに、トレイを片付け、素即さと、一階へと階段を降り始めた。
「あんまり、気にしないの。麗華はね、どちらかと言うと、香里にと言うより、淳に苛々してるんだと思うよ。あの二人、幼稚園からずっと一緒じゃん?本当の兄弟みたいに、何もかも解ってて、キツイ事も、ハッキリ言い合う仲だからさ。淳が、乗らりくらりだと、自分の事位にムカツクんだと思うよ。麗華って、優柔不断が一番嫌いだしね。男っぽい性格でしょ?」
茉莉子は、階段を降りながら、私の肩を後ろから叩いて、私にそっと笑って言った。