23時55分。
満開を過ぎた桜の下に僕は一人座っていた。
春の始まりを告げるような暖かい風が僕の頬にあたっていた。
あと5分で4月10日へと変わる。
あと5分経てば美咲との4年目の記念日になる………
はずだった。
1年と少し前。
僕と美咲は楽しかった高校生活を終え、晴れて卒業した。
美咲は僕の彼女だ。
笑顔が太陽並みにまぶしい自慢の彼女だ。
僕は美咲が大好きだ。
ずっと一緒にいたいと思っていた。
そのため美咲の進学先と同じ県外の大学を受験した。
周りの人はもちろん僕自身合格するなんて思っていなかった。
しかし美咲だけは僕が大学に合格すると信じて疑わなかった。
そして合格の発表の日、奇跡が起きた。
この僕が見事、大学に合格していたのだ。
昔からそうだった。
美咲の信じたことはきっと叶うのだ。
たとえ奇跡でも。