『何処か連れて行ってあげるよ』とか『次はあの店に行こう』とか
もう思っていない事は言わないで
どうせ守れない約束ならいらない
沢山嬉しい事はあったのに
結局は勘違い
想わせといて本当に狡い
なら始めからそんな態度は取らないで
『好きな様にやったらいいですよ』と持ち掛けられた相談に答えたけど本当は嫌
軽く言ったつもりが私には懸命に未練を残さない様に発した一言だった
帰りは手も繋げなかった
当たり前だろう
あんな事を言われて何も出来ない
バス停まで見送った
寂しさが込み上げて思わず
『もう帰るんですか?寂しいじゃないですか』と勇気を振り絞って言った
駆け引きだった
此処で私との時間を選んでくれたらもう少し頑張ってみよう
『寂しいって言うか、寒い』と貴方が言った
その素っ気ない答えに何だか腹が立つのを通り越して呆れた
もういい
私には興味はない
だったら帰ってくれていい
バスが来て
『じゃあまた』と手を振り貴方が乗り込む
週末が終わればまた貴方に会う
普通通りには会える
でも最後の私の寂しさを抑え切れ無い言葉にさすがに貴方も気付いただろう
私の気持ちを
それでも答えてくれなかったのだから此処で潔く退くしかない
どんな人だろう
奥さんを越えようとしている人は
きっときらびやかな服を着て綺麗に化粧をして話も上手くて
私なんか絶対に追いつけない人なんだろう
帰りの電車の中
向かいの窓に映る自分の顔を見てうんざりした
情けない顔
何の魅力もない
何も誇れる物もない
私は勝る物をきっと持ち合わせていない