雨が降りしきる中、ずっと雨に打たれて、ただ、排水溝に流れる水を見ていた。
雨はすべての事を流してくれる気がする。自分の罪も、後悔さえも…
そんな雨のなかただ呆然と空を見上げている彼は…
神崎 修也 (カンザキ シュウヤ)
短大に通い、居酒屋でバイトをする、ごく普通の学生だった。
一年前の今頃…
『修ちゃん…ごめんね。待った?』
『待ってないよ。寒いし、早く行こうか?』
…彼女は、
…立花 未来 (タチバナ ミライ)修也と同じ短大に通う、普通の女の子だ…
未来といる時は修也は幸せだった。未来の笑顔がすべてを忘れさせてくれるようで…
一方的に話しをする修也に対して未来は、何も言わず話しを笑顔で聞いてくれる。
未来の笑顔を見ていると嫌な事やしんどい事も忘れてしまう。
そんな幸せも長くは続かなかった…
星空の綺麗な日…
いつも通り、未来とご飯を食べて別れた…
『メールするね。修ちゃん、修ちゃん大好き。おやすみなさい。』
『うん…おやすみ』
いつも通りだったはずなのに…
真夜中…
未来の実家からの電話がかかってきた…
『修也君…未来が…未来が…』
言葉に詰まる未来の母…
『未来に何か、あったんですか…』
『とにかく〇〇病院に来てあげて…』
未来の母はしゃくりあげながら、修也に告げた。
何があったんだ?
未来は無事なのか?
…修也は何も考えず、ただ病院に向かった。
病室の前に行くと、医師と看護婦が病室から出て来る所だった。
『お悔やみ申し上げます…』
『??…そんな事は無い…未来が…』
とにかく急いで病室に入った。
ベットの上に寝ていたのは紛れも無い、未来だった。
『未来…未来…何寝てんだよ…目ぇ覚ませよ…約束したろ…明日は、大事な話しがあるからって…』
どんなに叫んでも、未来は目を冷まさなかった。
そんな事を思い出す中、雨のなか傘もささずに近づいて来る女性がいる…
『修ちゃん…修ちゃん…』