*恋*
「友ー!」
「あ、美那おはよ!」
「おはよ!」
― 斉藤 友 ―\r
今日、この晴れた日に
高校生になりました。
「美那、髪!」
「エヘヘ〜いいでしょ?昨日、行ってきたんだぁ♪」
黒かった美那の髪は、キャラメル色になっていた。
「いいなぁ〜。あたしもやってみよ♪」
友は髪を撫でながら、溜め息を吐く。
「‥友?」
聞き覚えのある、
ハスキーボイス。
この声は、あの人しかいないんだ‥。
後ろを振り返ってみると、弘樹が手を振った。
「弘樹♪」
美那は、弘樹の元に近寄る。
美那と弘樹は、中3の時から付き合っている。
あたしはそれを、ずっとずっと応援してあげている。
本当は、応援なんてしたくない。
付き合って欲しくもなかった。
だって‥
あたしは‥
美那が弘樹を好きになるずっと前から、
弘樹を好きだから‥
「友〜!早く早く!」
美那が、手招きをしてあたしを呼ぶ。
弘樹もこっちを向いて笑ってる。
あたしは、叶うことのない恋をしてる。