俺は、双子の兄で悠也という｡当然双子なんだから弟もいる…いや、正確には｢いた｣だ｡
弟は悠介といった｡去年の夏、死んだ｡
去年の夏(当時19歳)、五年ぶりに離れて暮らしていた弟に会った｡何故20歳にもなっていないのに別々に住んでいるのかというと、五年前、親が離婚したからだ｡別に虐待や、不倫、浮気といったものが理由ではなく、ただ、一度の喧嘩のせいでだ｡そのせいで俺たちは離れて暮らすことになった｡俺は母親のもとで、弟は父親のもとで暮らしていた｡
そして、五年の月日が経ち俺たちは再開した｡
待ち合わせ場所は、昔、二人でよく遊んだ公園だった｡俺は、予定より15分はやくその公園を目指し、家を出た｡あいにくの雨だったが、そんなことは気にもしなかった｡胸の中は、弟に会えるという気持ちでいっぱいだった｡
どんな姿になったか?やっぱりまだそっくりなのか?そんなことばかりを考えていたら、待ち合わせ場所に着いた…ハズだった｡公園は、なかった｡そのかわり、そこには大きなマンションが建っていた｡俺はしばらくその場で固まっていた｡いつも遊んだ思い出の場所がなくなった…かなりショックだった｡弟がこのことを知ったらどう思うだろう?多分悲しむだろう｡だから、ここを見せないために待ち合わせ場所を変えようと、電話した｡
｢もしもし、悠介?あのさ、待ち合わせ場所を変えたいんだけど…｣ ｢いいけど、突然どうして?｣ ｢いや、別に気にしなくていい｡じゃあ、〇時に〇〇交差点の前にある、〇〇書店の前に来てくれ｡｣ ｢うん!分かった｡じゃあね｡｣
そういって電話を切った｡
あの時、俺が待ち合わせ場所を変えなければ…
そして〇時、〇〇書店前で――
｢兄ちゃん!遅くなってごめん!｣と悠介が走ってきた｡見た目は少し変わっていた｡髪の毛が茶色になり、ピアスをつけていた｡｢いや、俺も来たばかりだ｡｣と言った｡20分前から来ていたのだが…
そして、走ってきてもう俺の前に来るというとき、視界にトラックが入ってきた｡弟は視界から消えた｡一瞬、何がおきたか分からなかった｡
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