「そうだよ!だからね、だからね、お兄ちゃんも一緒にユミ姉ちゃんを笑顔にしていこうよ!」
…何で?
「だって、皆が笑顔だったら幸せでしょ?ユミ姉ちゃんの笑顔、見たくないの?」
そんな事は無いけど…
「じゃあ決まりだね!ユミ姉ちゃんが毎日笑っていられるように、リアとお兄ちゃんで頑張る。約束だよ!お兄ちゃん!」
うん…分かった
「…そうか…」
ロイは妹と交わした約束を思い出して、ぎゅっと唇を噛んだ。
僕は、リアと交わした約束ですら守らずに…―\r
「どうしたのよ?かかってこないなら、こちらから行くわよ」
ユミナはロイの様子を怪訝そうな表情で見つめながら、剣を構えた。
「…」
ロイは小さく息を吐くと、ゆっくりと剣を構えてユミナを見据えた。
「リアは…貴方の笑顔が見たいと言っていた」
「え?」
「貴方が時々見せる笑顔が素敵だと言っていた。そして、リアは貴方の顔を毎日笑顔にしたいとも言っていた…」
「…」
ユミナはその言葉に息を呑んで、戸惑ったような表情を浮かべた。
誰かの為に力を使いたいと、いつも思っていたはずだった―\r
ロイは剣を握り絞めて、静かに目を閉じた。
けれど、心の何処かでそれを否定していた―