〈流星〉『暑〜』
その日は、まるで灼熱地獄…時刻はすでに、太陽が一番高くのぼる頃だった。ただでさえ熱気が漂っているのに、セミの声が精神的にも暑くさせる。
体全身に脱力感が襲ってくる。手足の力が抜け、無我夢中で、アスファルトの道から逃げようと、近くの市民センターに入った。
その市民センターは、夏休みなどの暑い季節は、学生のたまり場となっている。そして、ゲームや勉強など多様な目的で使われていた。
流星(本名・香川流星〈かがわりゅうせい〉)は、ともかく近くのイスに座った。 汗には少し粘り気があり、タオルで拭いても無駄な感じがした。
…………。
…………。 ………寂しい。
クタクタだったが、流星は再び歩き出した。ああいうボーッとする時間が嫌でしょうがない。
あの時を、思い出しそうで怖いのだ。