「やっべぇ!」
その日の朝、愁は寝坊した。
「仕方ねぇ…朝飯は抜きにするか…」
慌てて着替え、家を飛び出し、自転車に飛び乗る。
「これじゃ間に合わねぇっ…」
朝のホームルームが始まるまであと10分、愁の走ってるところから学校まで軽く15分はかかる。
これは遅刻を意味していた。
「…近道するか」
細い山道をひたすら走っていく、道がひらけると団地にでる、そこを抜ければ学校だ。
(これなら間に合う)
そう思って安心した時、団地が騒がしいことに気付いた。
「あの火事か…大変だなぁ…ん?」
そう思いながら通り過ぎようとした時、屋根に変な生物?を見た。
「何だアレ?」
止まって良く見ようとした時。
「はい、そこちょっとどいて!」
消防士に注意された。
「あ、すいません。」
謝って走り出そうとした時にもう一度屋根を見たが、何もなかった。
(ただの見間違いか?)そう思って学校に行くのだった。
学校には遅刻した。
学校はやっぱり火事の話で盛り上がっていた。
「今朝の火事、愁の家だってよ、だから、今日遅刻したんだってよ。」
章がまた作り話をしている。
「あーそうなのか、可哀想だなぁ」
なんか勇也まで話にのってるし
「んなわけねぇーだろ、火事があったのは章の家の近くだろうが」
ムキになって言い返す。そんな日常的な光景が幸せだと思える時が近付いているとは知らずに…