もう…否定され疲れた。言い返す気力もない。
……間違っていたのは私ですか?
ある年の春…
オヤジ「お前、今年はもう受験の年か?」
私「あぁ、来年は大学生だね。」
オヤジ「早いもんだ。高校の受験、こないだじゃなかったか?」
私「すっかり二年たっちまったよ。」
オヤジ「…そろそろ予備校探すかぁ…」
私「えっ」
母「そうねぇ。あ、この前新聞にいくつか予備校の宣伝があったわ。」
オヤジ「よぅし、それだ。」
私「おいおい、オレ予備校行きたいとか言ってない…」
半強制的だった。
私は5月の終わりから予備校「倒進」に入ることになった。入りたくないと言ったけど…無意味な抵抗だった。
夏は必死だった。今年の夏は蝉が鳴いてないのかと思うほどだった。
でも…私には目標がなかった…
秋に入ると勉強のペースはがた落ちになり、自信を無くしかけていた。
家族で食べる夕飯は鬱だ。
オヤジ「どうだ?進んでるか?」
母「どう?過去問、点取れてる?」
私「あ…ぅん。まぁね…。」
全然ダメだった。
毎日のようにこんな質問をうんざりするほど繰り出された。それはプレッシャーとストレスを日を増すごとに大きくさせた。でもそれよりも親に対する反感が強くなっていた。
冬になるととうとう予備校に行かなくなった。
部屋にこもりきって机に座り続けた。…でもペンは止まっていた…いや、手に握られたペンはそれなりに動いていた。止まっているのは頭だった。
結局…私の受験は全て落ちた。
オヤジも母も、私を反対した。予備校になぜ行かなくなったかとか、お前の勉強方法は間違っているだとか、お前はいつも口だけだとか…
予備校のことを言われた時、ついに私はキレた。
私「あんなとこそもそ行きたくなかったんだよ!!」
母「なっ…高いお金出してあげてるのに…。」
オヤジ「………」
私「お金とか…そんな話じゃ…ない……」
その後は涙しか出なかった。
それからはオヤジと話す機会はずいぶん減った。話をしても私に対をなすようなことを言ってくる。
(あぁ…誰も私に「うん」とは言ってくれないんだね…)
そして私は人間のちっぽけを知る。