ロイは目を大きく見開いて、自らの剣を見据えた。
それは、この力を使う事を心の奥で恐れていたからだ―\r
「…!」
ユミナはロイの剣に集まってくる闇のエネルギーを見て、驚いたような表情を浮かべた。
ユミナ姉ちゃんの為にこの剣を振るう事が、リアの為でもあるなら…―\r
「僕は喜んで、この剣と共に在ろう!」
ロイがそう叫んだ瞬間、巨大な闇のエネルギーが剣に吸収され、小さな風が優しく辺りを包み込んだ。
「…っ」
ユミナは顔を歪めて唇を噛みながら、全身を震わせた。
周りにいる者達も、その異様な光景に息を呑んだ。
「馬鹿な…周囲の魔力を吸収した…のか?」
ロザラムは目を大きく見開きながら、ごくりと唾を飲んだ。
「そんな…ありえないわ…こんな事…」
ミリスは困惑したような表情で、頭を左右に振った。「…そうか、だから魔法を満足に使う事が出来なかったのね…」
エミリアは冷静な表情で、頷いた。
「…どういう事?姉さん…」
「簡単な事よ。ロイの持っている魔力は人並み以下。つまり、ほぼ空っぽの状態なのよ」
「空っぽ…」
「そう。つまり、カップの中にお茶が入っていない状態よ。飲むにはお茶を注がなければならないわ」