僕は中学3年生の12月に死んだ。
始まりは同年の7月ごろだった。突然、教室で倒れて病院に運ばれた。検査をした結果、残り3ヶ月の命だと告げられた。治らないのかと尋ねると、今の医療では無理だ、と言われた。そのとき、一緒にいたはずの母さんの泣き叫ぶ声が遠くのほうで聞こえた。
しばらく入院して、あっけなく僕は死んだ。
3月。
なぜか僕は学校の教室にいた。
死んだはずの僕がいるということは、幽霊になったとでもいうのだろうか。それとも、ここは天国か地獄なのだろうか。
疑問に思っていたら教室の扉がおもむろに開いた。気づいたときには、だれかが入ってきていた。
「もう今日で終わりなんだよな。」
「3年って早かったな。」
「卒業式で泣いたらどうしよう…」
「お前は絶対ねぇよ。」
どうやら2人は僕に気づいていないようだ。ということは、僕は幽霊なのか、などと納得していたが、新たな疑問が生まれた。
卒業式?今日が?
考えていると、いつの間にか全員入ってきていてチャイムと同時に席に着いていた。少しして先生が入ってきて今日の日程について細かく伝えている中、僕はぼーっと、その様子を眺めていた。
よく見ると生きていたときの、同じクラスメートたちだった。
しばらくそうしていたが、時間がきたのだろう。みんなが移動し始めた。教室に残るわけにもいかず、僕もみんなのあとに着いていった。