☆それぞれの愛☆
〜似た者同士〜
コンビニへ着いてもアキはジュースしか買わなかった。
本当はお腹なんて減っていなかったんだろう。
私に気を使わせないように言ったのかと、アキの気遣いが少し嬉しかった。
それから私とアキは毎日の様に一緒にいた。
仲の良い友達にもアキを紹介し、人懐っこいアキはすぐに溶け込んでいった。
何度かアキの家に遊びに行くうちに、アキの心の傷を少しずつ知ることになる
いつアキの家に行っても、人の気配はない。
アキの家に行くと、いつも私や友達の夕飯はアキが作ってくれた。
ご飯を食べ終わり、皆がくつろいでいる時にも、アキは、洗い物をテキパキ済まし、洗濯物をたたんでいた。
当たり前の様に家事をこなすアキ。
次第にアキの家に遊びに行くと、皆でアキの家事の手伝いをするようになった
いつしかアキの家で食事をするのが定番になっていた。
アキの手料理はいつもとても美味しかった。
『アキ、いつもごめんね
食費私たちも出すからね』
「ううん!!!!みんな美味しそうに食べてくれるから嬉しいし、家事も手伝ってくれて助かってるもん!!!感謝したいくらい」
そう言って笑うアキ。
アキはいつも笑顔で私たちのムードメーカーだった
それでも、時折見せる寂しそうなアキの横顔は、私をとても切なくさせた。
《頑張らなくて良いよ》
その一言が、言い出せなかった。
アキが楽しそうに笑うから、触れてはいけないような気がして。