*呼び出し*
ブーブーブー
只今、P.M.9:00。
ベッドの上にある携帯をそっと開く。
《着信 弘樹》
弘樹‥?
何よ。こんな時間に。
ピッ―\r
「はいぃ?」
少しとぼけて電話に出た。
いつも弘樹は、『アホ(笑)』とか『もしもーし?電波悪いね(笑)』とか一緒にノってくれんのに‥―。
「弘樹‥?」
波の音しかしない弘樹の電話に、不思議と不安になった。
「‥友‥」
波の音に紛れて、あたしの名前を呼んだ。
「‥どしたの‥?」
今にも消えそうな声で、あたしは聞いた。
「‥海‥来て‥」
そこまで言うと、弘樹は電話を切った。
弘樹が静かになる時は、悩んでることやツラいことがあった時。
急いで寒くないように、カーディガンをはおる。
あと、弘樹のためにお兄ちゃんのジャンパーを持っていく。
寒そうだったら、着せてあげなくちゃ。
弘樹が悲しむの、あたしも嫌なんだよ‥?