和夫は喫茶店ルノワールに入った。
下品なボックスに腰を掛けた瞬間店員が注文をとりにきた。 コーヒーを頼み腕時計に目をやった。2時30分。
田端で依頼を受けたのが12時、妻とこのルノワールでの待ち合わせが3時だから、今日は段取りがいい。しかしここは客より店員の方が多い。又無愛想だ!よく経営が成り立つ。 鈴がなりドアが開いた!妻だ!10分前相変わらず時間に正確だ。
妻はボックスに身を預けるようにドスンと座ると腕時計を眺めため息を吐いた。店員が口を開く前に同じ物と投げ捨てた。店員は口を尖らせクルリと背を向けカウンターへと歩いて行く。