航宙機動部隊前史後編・35

まっかつ  2009-03-13投稿
閲覧数[502] 良い投票[0] 悪い投票[0]

完成した最終兵器の内、超重爆縮型は《素粒子破壊弾》、AM反応型は《次元破壊弾》と命名され、それぞれ量産化が急がれた。
宗教界保守派や王道派の指導者達は、これで胸を撫で下ろした。
事実、マルドゥク計画成功の報が伝わった後銀河連合《GU?》陣営は、無条件降伏か軍用先端技術の放棄まで真剣に論じられるまでに、一挙に追い込まれたのだ。

だが、ここで信じられない事態が起こった。
最終兵器の余りの破壊力に恐れをなし、それを作り出しては平然とするドクター=キマリや宗教界に絶望したとある人物が、その機密を敵方に漏らしたのだ。
その人物こそ他でもない―ドクター=キマリ=ジュニア―\r
何と、キマリの四男―彼の息子だったのだ!
最も、キマリ=ジュニア自体も、本当に個人だったのか、それとも組織や団体に付けられた名称だったのかは、諸説紛々としていて今だ明確な結論は出ていない。
はっきりしているのは、彼・もしくはその集団が、最終兵器使用を防ぐ為に、一種の勢力均衡を目指したと言う歴史的事実だけだ。

当然ながら、後銀河連合は貰ったカードに遠慮する様なお人好しではなく、僅か一年後には、星間国家共同体《SNS》陣営に匹敵するまでの最終兵器群を揃えてしまった。
こうして二超大国による冷戦が始まる―この時にはそう思われた。
だが―人々の不安あるいは淡い期待は更に半年を経ずして裏切られた。
それも最悪な形で。

銀河元号一六0二年・第二期三六日《修正太陽暦五月六日》、今だ超人類を始めとした禁じられた技術研究を止めない後銀河連合に対して、文明保守原理主義者による自爆テロが発生。
それに使われたのが―素粒子破壊弾だったのだ!
裏にはやはり、宗教界の影があった―研究者達をそう考えさせる状況証拠に、この事件は事欠かなかった。
使える筈が無いのだ―その位の後盾がなくば最終兵器等―\r

二億六千万人もの人命と共に消滅した星系の名を取って、この史上最悪のテロは《コンブット事変》と呼ばれる事となった。
このテロを契機に、報復は報復はを招き、合計四三六発もの素粒子破壊弾が用いられ、二0六発もの次元破壊弾が空間に穴を開けまくり、三月の内に実にこれまで人類が引き起こした戦争の全犠牲者を併せたよりも遥かに多くの死者が積み重ねられていった。



投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 まっかつ 」さんの小説

もっと見る

SFの新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ