二人で過ごす初めての夜。
私はとにかく嬉しかった。
一安の優しさも温もりも、寂しい私の隣に1ミリの隙間も開けず傍に居てくれた事が嬉しかった。
そんな嬉しい日々を過ごして十日位たった日の夜。
自分の家に電話しろと一安に言われた。
私は渋々家に電話をした。
電話に出たのは母親だった。
「生きてるから」
私はそれだけ伝えて返事を待たずに電話を切った。
電話をした私の頭を一安が優しく撫でてくれた。
次の日一安の友達の家に居ることが出来なくなったと言われた。
私と一安は考えた結果、一安のお婆ちゃんの家に向かう事にした。
一安のお婆ちゃんの家までは、自転車で2時間位かかった。
自転車は一台しか無かったので、二人で交代しながらお婆ちゃんの家に向かった。
そして、もう暗くなった頃お婆ちゃんの家についた。
一安のお婆ちゃんは私を暖かく迎えてくれた。
その日はもう時間も遅かったので、一安のお婆ちゃんはそのまま眠った。
私と一安は少しの間起きていたが、その日は疲れていた。
二人で話し合い、家出の事はお婆ちゃんには秘密にしておこうくという結論を出して直ぐに寝た。
その日の夜も、私と一安は1ミリも離れなかった。